初めに
現代のインターネット社会では、暗号技術があらゆる場面で活躍しています。例えば、オンラインショッピングやメッセージアプリで、データを安全にやり取りするために使われています。このページでは、対称暗号や公開鍵暗号の仕組み、デジタル署名や証明書がどのように役立つかを、初心者にもわかりやすく解説します!
暗号化とは?
暗号化は、データ(平文)を第三者に読めない形式(暗号文)に変換する技術です。暗号化されたデータは、鍵を使うことで元のデータに戻せます。これにより、情報を安全に保つことができます。
対称暗号と公開鍵暗号の仕組み
対称暗号とは?
対称暗号は、暗号化と復号に同じ鍵を使う暗号方式です。
例:秘密の日記を共有する
- 状況:あなたと友達が、他人に見られたくない秘密の日記をやり取りする。
- 鍵:暗号化と復号に使う同じパスワード「1234」を事前に共有。
- 流れ:
- あなたは日記の内容を「1234」を使って暗号化して送信。
- 平文:「今日は楽しい日だった。」
- 暗号文:「s8F3&*@!a3」← 鍵「1234」を使って変換。
- 友達は受け取った暗号文を、同じパスワード「1234」で復号して読む。
- 暗号文:「s8F3&*@!a3」
- 平文:「今日は楽しい日だった。」
- あなたは日記の内容を「1234」を使って暗号化して送信。
対称暗号の特徴
- 高速で暗号化・復号ができる。
- 鍵を安全に共有する必要がある(鍵の管理が課題)。
代表的な対称暗号
- AES(Advanced Encryption Standard)
非常に強力で効率的な暗号方式。銀行や政府機関でも使われています。
AESの仕組み(簡単に)
- データを128ビットずつ分割します。
- 特定のアルゴリズムでデータを何度も変換します。
- 変換後のデータが暗号文となります。
公開鍵暗号とは?
公開鍵暗号は、暗号化と復号に異なる鍵を使う暗号方式です。
鍵の種類:
- 公開鍵(Public Key):誰でも使える鍵。
- 秘密鍵(Private Key):本人だけが持つ鍵。
公開鍵で暗号化したデータは、対応する秘密鍵でしか復号できません。
例:オンラインショッピングでの注文情報の送信
- 状況:ネットショップにクレジットカード情報を送信する。
- 鍵:
- 公開鍵:ネットショップが公開している暗号化用の鍵(誰でも入手可能)。
- 秘密鍵:ネットショップだけが持っている復号用の鍵。
- 流れ:
- あなたがネットショップの公開鍵を使ってクレジットカード情報を暗号化。
- 平文:「カード番号1234-5678-9012」
- 暗号文:「&hG34*@dA」← 公開鍵を使って変換。
- 暗号化されたデータをネットショップに送信。
- ネットショップは自分だけが持つ秘密鍵を使って復号し、クレジットカード情報を取得。
- 暗号文:「&hG34*@dA」
- 平文:「カード番号1234-5678-9012」
- あなたがネットショップの公開鍵を使ってクレジットカード情報を暗号化。
公開鍵暗号の特徴
- 鍵の共有が安全(公開鍵は誰にでも渡せる)。
- 処理が遅い(対称暗号より複雑な計算が必要)。
代表的な公開鍵暗号
- RSA(Rivest-Shamir-Adleman)
大きな素数を使うことで、高いセキュリティを実現。
RSAの仕組み(簡単に)
- 非常に大きな2つの素数を掛け合わせて公開鍵と秘密鍵を生成。
- 公開鍵で暗号化したデータは秘密鍵で復号可能。
デジタル署名とは?
デジタル署名は、データの改ざん防止と送信者の証明を目的とした技術です。
- 例:紙の契約書に署名する感覚。
デジタル署名の仕組み
- データからハッシュ値を生成(データの指紋のようなもの)。
- そのハッシュ値を送信者の秘密鍵で暗号化(署名の作成)。
- 受信者は送信者の公開鍵で復号し、元データと一致するか確認。
用途:
- メールやファイルが改ざんされていないことを証明。
- 送信者が正しい人物であることを保証。
例:大学教授が成績証明書を発行する
- 状況:あなたが就職活動のために大学の成績証明書を提出する。
- 署名に使う鍵:
- 秘密鍵:教授が持つ署名用の鍵。
- 公開鍵:誰でも使える検証用の鍵(会社が使う)。
- 流れ:
- 大学教授が成績証明書(データ)のハッシュ値を計算。
- ハッシュ値:「abc123」← 成績証明書を要約したデータ。
- 教授が自分の秘密鍵でハッシュ値を暗号化して署名を作成。
- デジタル署名:「7Fg*&12」← ハッシュ値「abc123」を暗号化。
- あなたが会社に証明書を提出。
- 会社が教授の公開鍵を使って署名を復号し、元のハッシュ値と比較。
- デジタル署名:「7Fg*&12」→ 復号後のハッシュ値:「abc123」
- 元の成績証明書から計算したハッシュ値:「abc123」
- 両方が一致することで、証明書が改ざんされていないことを確認。
- 大学教授が成績証明書(データ)のハッシュ値を計算。
証明書の役割
デジタル証明書とは?
デジタル証明書は、特定の公開鍵が信頼できるものであることを保証するものです。第三者機関(認証局:CA)が発行します。
証明書の仕組み
- 認証局(CA)が公開鍵と所有者情報を結び付けた証明書を発行。
- 証明書が有効であることを受信者が確認。
証明書の用途
- ウェブサイトのSSL/TLS通信(HTTPS)
ブラウザが証明書を確認して、サイトが正当であることを保証。
例:公式身分証明書を使っての本人確認
- 状況:銀行口座を開設するため、身分証明書を提出。
- 証明の流れ:
- 銀行はあなたの身分証明書(デジタル証明書)を確認。
- 身分証明書は政府の認証局(CA)が発行したもの。
- 証明書の内容:「この公開鍵は○○さんのものです」と記載。
- 銀行は政府が発行した証明書を信頼しているため、あなたが本人であることを確認。
ウェブサイトでの例(HTTPS)
- ブラウザがウェブサイト(例:
https://example.com
)にアクセス。 - サイトは自分のデジタル証明書をブラウザに送信。
- ブラウザは認証局(CA)がその証明書を発行していることを確認。
- サイトが信頼できると判断し、安全な通信を開始。
まとめ
技術 | 特徴 |
---|---|
対称暗号(AES) | 暗号化と復号に同じ鍵を使う。高速だが鍵の管理が課題。 |
公開鍵暗号(RSA) | 公開鍵と秘密鍵を使い分ける。安全だが処理が遅い。 |
デジタル署名 | データの改ざん防止と送信者の証明。秘密鍵で署名し、公開鍵で検証する。 |
デジタル証明書 | 公開鍵が信頼できることを保証する。認証局が発行。 |
暗号技術は私たちのオンライン生活を支える重要な要素です。これらの仕組みを理解し、データを安全に守る方法を学びましょう!
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