APIセキュリティ入門:キーとJWTの仕組み

セキュリティ

はじめに

API(Application Programming Interface)は、異なるアプリケーション同士がデータをやり取りするための窓口です。しかし、APIは外部と直接つながっているため、適切なセキュリティ対策がなければ、データ漏洩や不正アクセスのリスクがあります。

この記事では、APIキートークンベース認証JWT(JSON Web Token)の仕組みとセキュリティのポイントをわかりやすく解説します。

APIキーとは?

APIキーは、APIを利用するために発行される一意の識別子(文字列)です。APIにアクセスするクライアントを識別するために使われます。

APIキーの特徴

  1. クライアントの識別
    • APIキーを使うことで、どのクライアントがリクエストを送っているかを識別します。
  2. 認証の簡易性
    • サーバーにAPIキーを送信するだけでリクエストが認証されます。
  3. アクセス制限
    • APIキーにアクセスできるリソースや使用量を制限することが可能。

APIキーの利用例

  • リクエストにAPIキーを含めて送信します
Plaintext
GET /data HTTP/1.1
Host: api.example.com
Authorization: Bearer YOUR_API_KEY
  • セキュリティ注意点:
    • APIキーは平文で送信しない(HTTPSを使う)。
    • クライアントサイドにキーを保存しない(サーバー側で管理)。

トークンベース認証とは?

トークンベース認証は、APIアクセスの認証方法の1つで、認証に成功したクライアントにトークン(鍵のようなもの)を発行します。

トークンベース認証の流れ

  1. 認証リクエスト
    クライアントがユーザー名・パスワードを送信して認証をリクエスト。
  2. トークンの発行
    サーバーがクライアントを認証し、アクセス権限を持つトークンを発行。
  3. トークンを利用したAPIアクセス
    クライアントはトークンをリクエストヘッダーに含めてAPIを利用。

トークンの種類

  • アクセストークン:短期間有効なトークン。APIアクセス時に使用。
  • リフレッシュトークン:アクセストークンが期限切れの場合に新しいアクセストークンを発行するために使用。

トークンベース認証の利点

  • ユーザーの認証情報(パスワード)を繰り返し送信する必要がない。
  • トークンを失効させることで、即座にアクセスを停止可能。

JWT(JSON Web Token)とは?

JWT(JSON Web Token) は、トークンベース認証で使われる形式の1つで、データをJSON形式で安全にやり取りするための技術です。

JWTの構造

JWTは3つの部分から構成され、ドット(.)で区切られています

Plaintext
HEADER.PAYLOAD.SIGNATURE

ヘッダー(HEADER)

トークンのタイプやアルゴリズムを指定します。

JSON
{
  "alg": "HS256",
  "typ": "JWT"
}

ペイロード(PAYLOAD)

トークンに含めるデータ(クレーム)です。

JSON
{
  "sub": "1234567890",
  "name": "John Doe",
  "admin": true,
  "exp": 1712467200
}
  • sub:ユーザーIDなどの識別子。
  • exp:トークンの有効期限(UNIXタイムスタンプ)。

署名(SIGNATURE)

トークンが改ざんされていないことを確認するための署名。

JSON
HMACSHA256(base64UrlEncode(HEADER) + "." + base64UrlEncode(PAYLOAD), secret)

JWTの流れ

  1. クライアントが認証情報を送信。
  2. サーバーがクライアントを認証し、JWTを発行。
  3. クライアントはJWTをリクエストヘッダーに含めてAPIを利用。

JWTのセキュリティ考慮点

  1. HTTPSを必ず使用する
    トークンがネットワーク上で盗聴されるリスクを防ぐため。
  2. 署名を検証する
    サーバー側で署名を検証し、改ざんされていないか確認する。
  3. 有効期限を短く設定する
    トークンの有効期間を短くし、リスクを最小化。
  4. ブラックリストの活用
    不正利用が発覚したトークンを無効化する仕組みを用意する。

APIセキュリティのまとめ

方法特徴
APIキークライアントを識別する簡易な認証方法。キーの管理が重要。
トークンベース認証トークンを発行してクライアントを認証。パスワードを繰り返し送信しないので安全性が高い。
JWT(JSON Web Token)JSON形式でデータをやり取りするトークン。改ざん防止のため署名を利用。

実践的なAPIセキュリティのポイント

  1. HTTPSを徹底する
    トークンやAPIキーを暗号化しないと、簡単に盗聴される可能性があります。
  2. APIキーやトークンをクライアントサイドに保存しない
    フロントエンドだけにキーを保存すると、ブラウザから簡単に取得されてしまいます。
  3. IP制限や使用量制限を設定する
    APIキーやトークンが漏洩した際の被害を最小化するために、アクセス元のIPや利用回数を制限。
  4. ログを監視する
    不審なAPIリクエストや不正アクセスを検知するために、APIの使用ログを定期的に確認。

APIは便利で強力な機能を提供する一方、セキュリティ対策を怠ると大きなリスクを招きます。この記事を参考に、安全なAPI設計を目指しましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました