はじめに
API(Application Programming Interface)は、異なるアプリケーション同士がデータをやり取りするための窓口です。しかし、APIは外部と直接つながっているため、適切なセキュリティ対策がなければ、データ漏洩や不正アクセスのリスクがあります。
この記事では、APIキー、トークンベース認証、JWT(JSON Web Token)の仕組みとセキュリティのポイントをわかりやすく解説します。
APIキーとは?
APIキーは、APIを利用するために発行される一意の識別子(文字列)です。APIにアクセスするクライアントを識別するために使われます。
APIキーの特徴
- クライアントの識別
- APIキーを使うことで、どのクライアントがリクエストを送っているかを識別します。
- 認証の簡易性
- サーバーにAPIキーを送信するだけでリクエストが認証されます。
- アクセス制限
- APIキーにアクセスできるリソースや使用量を制限することが可能。
APIキーの利用例
- リクエストにAPIキーを含めて送信します
Plaintext
GET /data HTTP/1.1
Host: api.example.com
Authorization: Bearer YOUR_API_KEY
- セキュリティ注意点:
- APIキーは平文で送信しない(HTTPSを使う)。
- クライアントサイドにキーを保存しない(サーバー側で管理)。
トークンベース認証とは?
トークンベース認証は、APIアクセスの認証方法の1つで、認証に成功したクライアントにトークン(鍵のようなもの)を発行します。
トークンベース認証の流れ
- 認証リクエスト
クライアントがユーザー名・パスワードを送信して認証をリクエスト。 - トークンの発行
サーバーがクライアントを認証し、アクセス権限を持つトークンを発行。 - トークンを利用したAPIアクセス
クライアントはトークンをリクエストヘッダーに含めてAPIを利用。
トークンの種類
- アクセストークン:短期間有効なトークン。APIアクセス時に使用。
- リフレッシュトークン:アクセストークンが期限切れの場合に新しいアクセストークンを発行するために使用。
トークンベース認証の利点
- ユーザーの認証情報(パスワード)を繰り返し送信する必要がない。
- トークンを失効させることで、即座にアクセスを停止可能。
JWT(JSON Web Token)とは?
JWT(JSON Web Token) は、トークンベース認証で使われる形式の1つで、データをJSON形式で安全にやり取りするための技術です。
JWTの構造
JWTは3つの部分から構成され、ドット(.
)で区切られています
Plaintext
HEADER.PAYLOAD.SIGNATURE
ヘッダー(HEADER)
トークンのタイプやアルゴリズムを指定します。
JSON
{
"alg": "HS256",
"typ": "JWT"
}
ペイロード(PAYLOAD)
トークンに含めるデータ(クレーム)です。
JSON
{
"sub": "1234567890",
"name": "John Doe",
"admin": true,
"exp": 1712467200
}
- sub:ユーザーIDなどの識別子。
- exp:トークンの有効期限(UNIXタイムスタンプ)。
署名(SIGNATURE)
トークンが改ざんされていないことを確認するための署名。
JSON
HMACSHA256(base64UrlEncode(HEADER) + "." + base64UrlEncode(PAYLOAD), secret)
JWTの流れ
- クライアントが認証情報を送信。
- サーバーがクライアントを認証し、JWTを発行。
- クライアントはJWTをリクエストヘッダーに含めてAPIを利用。
JWTのセキュリティ考慮点
- HTTPSを必ず使用する
トークンがネットワーク上で盗聴されるリスクを防ぐため。 - 署名を検証する
サーバー側で署名を検証し、改ざんされていないか確認する。 - 有効期限を短く設定する
トークンの有効期間を短くし、リスクを最小化。 - ブラックリストの活用
不正利用が発覚したトークンを無効化する仕組みを用意する。
APIセキュリティのまとめ
方法 | 特徴 |
---|---|
APIキー | クライアントを識別する簡易な認証方法。キーの管理が重要。 |
トークンベース認証 | トークンを発行してクライアントを認証。パスワードを繰り返し送信しないので安全性が高い。 |
JWT(JSON Web Token) | JSON形式でデータをやり取りするトークン。改ざん防止のため署名を利用。 |
実践的なAPIセキュリティのポイント
- HTTPSを徹底する
トークンやAPIキーを暗号化しないと、簡単に盗聴される可能性があります。 - APIキーやトークンをクライアントサイドに保存しない
フロントエンドだけにキーを保存すると、ブラウザから簡単に取得されてしまいます。 - IP制限や使用量制限を設定する
APIキーやトークンが漏洩した際の被害を最小化するために、アクセス元のIPや利用回数を制限。 - ログを監視する
不審なAPIリクエストや不正アクセスを検知するために、APIの使用ログを定期的に確認。
APIは便利で強力な機能を提供する一方、セキュリティ対策を怠ると大きなリスクを招きます。この記事を参考に、安全なAPI設計を目指しましょう!
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