はじめに
PHPを学ぶ価値
PHPはWebアプリ開発に特化したプログラミング言語で、現在も世界中で広く利用されています。特にWordPressをはじめとするCMSの多くがPHPで作られており、学習することで既存のWebサイトを改修したり、自分でアプリを構築したりできるスキルが身につきます。
また、PHPは入門しやすい言語でもあり、Webブラウザと組み合わせて動作を確認しながら学習できるため、初心者が成果を実感しやすい点も大きな魅力です。
特徴
- Webに強い:フォーム処理やセッション管理など、Webアプリに欠かせない機能が標準で揃っている
- 学習コストが低い:環境構築が簡単で、初心者でも短期間で成果物を作れる
- 実務で活躍できる:WordPressやLaravelといったフレームワークを学ぶ基盤となる
これからPHPを学んでいくことで、Web開発の基礎を理解しながら、実務に直結するスキルを積み上げていくことができます。
開発環境を整える(Windows編)
PHPを学ぶためには、まず実際にプログラムを動かせる環境を準備する必要があります。Windowsでは XAMPP を利用するのが最も手軽でおすすめです。XAMPPは、PHP・MySQL・Apacheをまとめてインストールできるオールインワンの環境構築ツールです。
XAMPPのインストール手順
- 公式サイトにアクセス
XAMPP公式ページ からWindows版インストーラをダウンロードします。 - インストール
ダウンロードしたインストーラを実行し、基本的にはデフォルト設定のままでOKです。- インストール先:
C:\xampp
が推奨 - コンポーネント選択:Apache、MySQL、PHP を有効にしておけば十分
- インストール先:
- XAMPP Control Panelを起動
- インストール完了後に「XAMPP Control Panel」を開く
- Apache の「Start」ボタンをクリックするとWebサーバーが立ち上がります

PHPを動かしてみる
- PHPファイルを作成
- エクスプローラーで
C:\xampp\htdocs
フォルダを開く - ここがWeb公開用のディレクトリです
hello.php
というファイルを作成し、以下の内容を記述します
<?php echo "Hello World!"; ?>
- エクスプローラーで
- ブラウザで表示する
- Webブラウザを開いて以下のURLにアクセスします
http://localhost/hello.php
- 「Hello World!」と表示されれば成功です
- Webブラウザを開いて以下のURLにアクセスします

PHPの基礎文法
変数と定数
変数
PHPの変数は $
記号から始まります。変数名にはアルファベットや数字、アンダースコアを使えます(ただし先頭は数字不可)。
<?php
$name = "Taka";
$age = 28;
echo "名前: $name, 年齢: $age";
?>
出力結果
名前: Taka, 年齢: 28
- 変数に代入した値は後から変更できます
- 文字列と変数を一緒に表示する場合は ダブルクォーテーション を使うと展開されます
定数
変数と違って、定数は一度定義すると変更できません。
<?php
define("SITE_NAME", "My Blog");
const VERSION = "1.0";
echo SITE_NAME; // My Blog
echo VERSION; // 1.0
?>
define()
とconst
のどちらでも定義可能- 一般的にクラス内では
const
を、グローバルではdefine()
をよく使います - 定数名は慣習として 大文字スネークケース(SITE_NAME) が多い
配列と連想配列
配列の作り方・アクセス方法
配列は、複数の値をひとまとめに扱えるデータの入れ物です。
<?php
$fruits = ["apple", "banana", "orange"];
echo $fruits[0]; // apple
echo $fruits[2]; // orange
?>
- 配列のインデックスは 0 から始まる
$配列名[インデックス番号]
で要素にアクセスできる
連想配列でのデータ管理
連想配列は「キー」と「値」をペアで管理します。データに名前を付けられるので便利です。
<?php
$user = [
"name" => "Taka",
"age" => 28,
"email" => "taka@example.com"
];
echo $user["name"]; // Taka
echo $user["email"]; // taka@example.com
?>
- インデックス番号の代わりに「キー」を使う
- 人や商品など属性を持つデータを扱うときに便利
条件分岐
if / else の基本
条件によって処理を切り替えるのが条件分岐です。
<?php
$score = 80;
if ($score >= 70) {
echo "合格!";
} else {
echo "不合格...";
}
?>
- 条件式が true なら if の中が実行される
- 複数条件を扱う場合は
elseif
を使う
if ($score >= 90) {
echo "秀";
} elseif ($score >= 70) {
echo "良";
} else {
echo "不可";
}
switch の使い所
特定の値ごとに処理を分けたいときは switch
が便利です。
<?php
$day = "Wed";
switch ($day) {
case "Mon":
echo "月曜日です";
break;
case "Wed":
echo "水曜日です";
break;
case "Fri":
echo "金曜日です";
break;
default:
echo "その他の曜日です";
}
?>
- 条件が「特定の値と一致するか」を判定するときに使う
break
を忘れると次のケースに処理が流れてしまう
繰り返し処理
for 文
決まった回数だけ繰り返したいときに使う。
<?php
for ($i = 1; $i <= 5; $i++) {
echo $i . "回目<br>";
}
?>
1〜5を順番に表示
foreach 文
配列や連想配列を順番に処理したいときに使う。
<?php
$colors = ["red", "blue", "green"];
foreach ($colors as $color) {
echo $color . "<br>";
}
?>
連想配列の場合はキーも一緒に取り出せる。
<?php
$user = ["name" => "Taka", "age" => 28];
foreach ($user as $key => $value) {
echo $key . ": " . $value . "<br>";
}
?>
while 文
「条件がtrueの間」繰り返す。回数が決まっていないときに便利。
<?php
$count = 1;
while ($count <= 3) {
echo $count . "回目<br>";
$count++;
}
?>
- for:回数が決まっているとき
- foreach:配列や連想配列を順番に処理するとき
- while:条件が満たされる限り繰り返すとき
関数と便利な組み込み関数
関数の定義と呼び出し方
関数とは「処理のまとまり」をひとつの名前にして再利用できる仕組みです。
<?php
// 関数の定義
function greet($name) {
return "こんにちは、" . $name . "さん!";
}
// 呼び出し
echo greet("Taka");
?>
function 関数名(引数) { ... }
で定義するreturn
を使うと結果を返せる- 引数は複数指定可能、デフォルト値も設定できる
文字列操作関数
PHPには便利な文字列操作用の組み込み関数が多数あります。
<?php
$str = "Hello World";
// 文字数を数える
echo strlen($str); // 11
// 部分文字列を取り出す
echo substr($str, 0, 5); // Hello
// 文字列を分割する
$words = explode(" ", $str);
print_r($words); // ["Hello", "World"]
?>
よく使う関数
strlen($str)
: 文字数を取得substr($str, 開始位置, 文字数)
: 部分文字列を取り出すexplode(区切り文字, $str)
: 文字列を配列に分割
配列操作関数
配列を扱うときに役立つ関数も豊富です。
<?php
$fruits = ["apple", "banana"];
// 要素を追加
array_push($fruits, "orange");
print_r($fruits); // ["apple", "banana", "orange"]
// 配列を結合
$moreFruits = ["grape", "melon"];
$all = array_merge($fruits, $moreFruits);
print_r($all); // ["apple", "banana", "orange", "grape", "melon"]
// 各要素に処理を適用
$lengths = array_map("strlen", $fruits);
print_r($lengths); // [5, 6, 6]
?>
よく使う関数
array_push($array, 値)
: 配列の末尾に要素を追加array_merge($arr1, $arr2)
: 配列を結合array_map($func, $array)
: 各要素に関数を適用
日付関数
日時の表示や計算も可能です。
<?php
// 現在の日付を取得
echo date("Y-m-d H:i:s"); // 2025-09-25 10:30:45 など
// 文字列から日時を生成
$timestamp = strtotime("2025-01-01");
echo date("Y/m/d", $timestamp); // 2025/01/01
// 1週間後の日付
echo date("Y-m-d", strtotime("+1 week"));
?>
まとめ
ここまでで、PHPの基本文法をひととおり学びました。
これらを組み合わせることで、PHPで動的な処理を作れるようになりました。
次のステップでは データベース連携 を学び、MySQLと組み合わせて「データを保存・取得できるWebアプリ」を作っていきましょう。
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