はじめに
AWS (Amazon Web Services) は、クラウドコンピューティングのリーディングプロバイダーです。エンジニア未経験の方でも、AWSを使うことで、ITインフラやアプリケーションをインターネット上で簡単に利用することができます。本記事では、AWSの基本的な概念や、最初に知っておきたい主要サービスについて、分かりやすく説明します。
クラウドコンピューティングとは?
まず、クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じてサーバーやストレージ、アプリケーションなどを利用することを指します。従来は、自社のサーバールームやデータセンターでコンピュータやソフトウェアを管理していましたが、クラウドを使うことで、物理的な機器を所有せずに必要なリソースを借りて使えるようになります。
これにより、設備の管理やメンテナンスの手間を大幅に削減し、コストを抑えながら迅速にサービスを提供できるのがクラウドの大きな利点です。
クラウドの種類
クラウドには、3つの主要な形態があります。
- IaaS (Infrastructure as a Service): インフラ(サーバーやネットワーク)を借りる形態。AWSのEC2(仮想サーバー)はこれに該当します。
- PaaS (Platform as a Service): 開発プラットフォームを提供し、アプリケーション開発に集中できる形態。AWSのElastic Beanstalkがその例です。
- SaaS (Software as a Service): ソフトウェアをインターネット経由で提供する形態。たとえば、GoogleのGmailやMicrosoftのOffice 365のようなサービスがこれに当たります。
AWSの概要と主要サービス
AWSは、世界中で利用されているクラウドサービスの一つで、さまざまなITリソースをインターネット上で提供しています。AWSの特徴的なサービスは、簡単に利用を開始でき、しかも使用した分だけの料金を支払う仕組み(従量課金制)です。
初心者がまず覚えるべき主要なAWSのサービスをいくつか紹介します。
EC2 (Elastic Compute Cloud)
EC2は、AWSの中で仮想サーバーを提供するサービスです。実際の物理サーバーを所有せずに、仮想的にサーバーを使うことができ、必要なときに簡単にサーバーを立ち上げたり、削除したりできます。
たとえば、EC2を使うと、自分のパソコンでソフトウェアを動かすのと同じように、インターネット上でソフトウェアを動かすことができます。Webアプリケーションを運用したり、データ処理を行う際に役立ちます。
S3 (Simple Storage Service)
S3は、データを保存するためのサービスです。写真や動画、書類などのファイルをインターネット上に保存し、必要なときにどこからでもアクセスできます。
たとえば、Webサイトでユーザーがアップロードした画像ファイルや、企業のバックアップデータの保存先として活用されることが多いです。
RDS (Relational Database Service)
RDSは、リレーショナルデータベースを提供するサービスです。リレーショナルデータベースとは、情報をテーブル形式で保存し、データの関連性を持たせて管理するものです。たとえば、ECサイトで商品や顧客の情報を効率的に管理するために使います。
RDSを使うと、初心者でも簡単にデータベースを構築でき、複雑なサーバー管理をする必要がなくなります。
IAM (Identity and Access Management)
IAMは、AWSのリソースにアクセスできるユーザーや権限を管理するサービスです。たとえば、開発者にはサーバーの操作権限を与え、一般社員にはデータ参照のみの権限を与えるといった、細かいアクセス管理ができます。
これは、企業内でAWSを使う際に非常に重要で、セキュリティを確保するための基本的なツールです。
VPC (Virtual Private Cloud)
VPCは、AWS内で自分専用のネットワークを構築できるサービスです。インターネットに直接公開せず、セキュアな環境を作りたい場合に使います。
VPCを使うことで、自社のネットワークと同じようにサーバー同士をつなげて通信できるため、外部からのアクセスを制限して安全なシステムを構築できます。
AWSアカウントの作成と無料利用枠(Free Tier)の確認
AWSを利用するには、まずアカウントを作成する必要があります。アカウントを作成したら、AWSが提供する無料利用枠(Free Tier)を使って、一定のサービスを無料で体験できます。
AWSの料金は定期的に変動するので、公式ページを確認しましょう
Well-Architected Framework
AWSでは、システムを設計する際のベストプラクティスをまとめたWell-Architected Frameworkというガイドラインが用意されています。これに従って設計することで、信頼性が高く、コスト効率の良いシステムを構築できます。
このフレームワークは以下の5つの柱から成り立っています。
- 運用の優秀性: 効率的にシステムを運用・監視するためのガイド。
- セキュリティ: データやシステムを守るための設計方法。
- 信頼性: システムが障害に強く、高い可用性を保てるようにするための設計。
- パフォーマンス効率: リソースを最適に活用し、パフォーマンスを最大化するためのガイド。
- コスト最適化: 不要なコストを抑え、コストパフォーマンスの良いシステムを構築する方法。
初心者でも、このフレームワークに従えば、長期的に安定して使えるシステムを作れるため、ぜひ覚えておくと良いでしょう。
まとめ
AWSは、エンジニア未経験の方でも簡単に始められるクラウドサービスです。今回紹介したEC2、S3、RDS、IAM、VPCなどの基本サービスを理解することで、AWSの基礎をしっかりと押さえることができます。まずは無料利用枠を活用し、実際に使いながら学習を進めることで、AWSの使い方に慣れていきましょう。
AWSの基本概念と主要サービスを理解することが、エンジニアとしての一歩を踏み出すための大切な基盤となります。クラウドの力を活用して、効率的かつ柔軟にシステムを構築していくスキルを身につけていきましょう。
次回以降は実際にEC2から触っていきたいと思います。
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